
健康運動支援システム
ユーザの健康をサポート!
現代社会では,生活習慣病が危険視されています.特に,様々な生活習慣病の原因とされる肥満の問題を解決することが注目されています.任天堂のWiiFitなど,手軽に家庭で行える運動機器が普及することによって人々は比較的簡単に健康管理が可能になりました.また,スマートフォンのセンサを利用したアプリケーションでは,消費したカロリーや,ユーザの体重の変化などを記録することができます.さらに,腕などに装着するウェアラブルデバイスを利用することにより,より精密にユーザの情報を計測,記録することが可能になりました.しかし,既存のアプリケーションには,ユーザ個人のライフスタイルに合わせた食事や運動を提案するものはありません.
本研究では,健康管理の一つとして運動と食事に着目し,これらをユーザ個人に合わせて提案する健康管理システムの開発を行っています.
健康運動支援システムの概要
下図は,健康管理システムの概要を表しています.システムは,ユーザの身体情報から目標に合わせた運動や食事の提案を行います.この際,健康管理のモチベーションを維持するために,ユーザの好みの食事や運動を提案することを想定しています.

ユーザに運動を提案するシステム
ユーザに合った運動量を満たす運動を提示するシステムについて紹介します.このシステムの目的は,様々な運動を組み合わせて,ユーザが目標とする運動強度の運動メニューを提示することです.しかし,毎日同じような運動メニューを薦められると,ユーザの運動へのモチベーションが削がれてしまうかもしれません.そこで本研究では,フィットネスクラブで一般的に用いられる運動約200種類を用いて,様々なバリエーションのメニューを提示するシステムの検討を行いました.

上記のシステムは,コンピュータ上でシミュレーションを行った結果,有効性を確認することができました. 今後は,運動提案システムと合わせた食事の提案や,ウェアラブル端末を使って楽しく健康管理ができるシステムの構築を目指していく予定です.
関連研究紹介
集団運動の意欲向上を促すハーモニー生成システム

本研究では、グループエクササイズのモチベーションを高めるためのハーモニー生成システムを提案しています。このシステムは、複数ユーザーの動きに基づいて音を生成し、個々の音を重ね合わせることで協調的な音楽演奏を可能にします。さらに、ユーザー間の音生成のタイミングのずれを補正することにより、ハーモニーの生成を支援します。実験では、サウンド生成と補正の有無、および補正の度合いを変化させながら、参加者に様々な運動パターンを実行してもらい、システムの有効性を検証しています。実験結果から,運動動作による集団での演奏により,運動の楽しさを向上できることが確認できました.また,各ユーザの音声の生成タイミングを補正することで,一体感を演出し心理的負担を軽減できることや,ユーザの運動意欲を向上できることが示唆されました.
クロスモーダル効果を用いた運動支援システムに関する研究

本研究では,視覚と聴覚の2つの感覚が相互作用し影響し合うクロスモーダル効果により,トレーニング負荷が軽減されたかのような錯覚を生み出す仮想現実(VR)システムを提案します.本システムは,スクワット運動中にユーザーがバランスを崩すのを防ぐために座面高さを調整する椅子と,ユーザーの動きに基づいて変化する3Dシーンを投影する非透過型ヘッドマウントディスプレイを使用します.没入傾向特性と主観的疲労度の関係を探るため,評価実験を実施しました.結果として,システムの補助は主観的疲労を軽減し,心拍数への影響は最小限であることが示されました.さらに,アバターの動きと被験者自身の動きとの間に顕著なずれが生じたことにより,被験者の没入傾向が主観的疲労の増加に寄与した可能性が示されました.この研究により,VRを活用して運動時の主観的な疲労感を軽減し,より快適なトレーニング体験を提供できる可能性が示唆されます.
参考文献
Y.Hayashi, R.Oku, H.Takenouchi, M.Tokuamaru, ” Consideration of Ingredient Purchases Using the Healthy Eating Habits Support System”, 16th International Symposium on Advanced Intelligent Systems (ISIS2015), F1e-1, pp.794-803, 2015-11 (Mokpo, Korea).
奥 良太,竹之内 宏,徳丸 正孝,“食生活支援システムにおけるユーザの細やかな嗜好を表現する感性モデルの提案”,第11回日本感性工会春季大会, G3-3, 2016-03(神戸).
星野 愛友,竹之内 宏,徳丸 正孝,“ユーザの嗜好を考慮した運動を推薦する健康管理システム”,日本知能情報ファジィ学会 第27回 ソフトサイエンス・ワークショップ,A4-2, pp.57-58,2017-03(秋田).
Akihiro Yoshida, Emmanuel Ayedoun, Masataka Tokumaru, “Leveraging Cross-Modal Effects to Support Squat Exercise”, The 9th International Symposium on Affective Science and Engineering (ISASE 2023), PM-1B-04, 2023-03 (Online).
小林 陸門,アイエドゥン エマヌエル,徳丸 正孝,”集団運動の意欲向上を促すハーモニー生成システム”, 日本知能情報ファジィ学会 第39回ファジィシステムシンポジウム,1F2-1,pp.266-270,2023-09(長野,軽井沢).