
感性検索システム
ユーザの嗜好を考慮する感性検索!
現在では,欲しい情報があればインターネットでキーワード検索をすることで簡単に情報を得ることができます.しかし,hitする情報量は膨大でその中から本当に自分が欲しい情報を見つけるのは困難です.例えば,ファッショングッズをインターネットで買おうとしてもhitする件数が多く,すべての商品を一つ一つ見て,自分の嗜好に合う商品を見つけることは非常に大変な作業です.本研究室では,このような問題を解決するために,ユーザの嗜好を考慮し欲しい情報を的確に検索できる感性検索システムの開発に取り組んでいます.
感性検索システムの実現
感性検索といってもはじめからユーザの感性を理解して的確に欲しい情報の検索をすることはできません.感性検索を行うにはコンピュータにユーザの感性を学習させる必要があります.それではコンピュータがどのように人の感性を理解するのでしょうか?例として,ユーザの衣服の好みを学習する場合について考えてみましょう.

まず,ある衣服に対してユーザとコンピュータはそれぞれ評価します.このとき,コンピュータは衣服が人に印象を与えると考えられる要因(色,模様,形状等)をもとに評価します.そして,コンピュータとユーザの評価の差をもとにコンピュータはユーザの嗜好を学習します.これらの手順を繰り返すことで,コンピュータはユーザの感性を理解することができ,ユーザの評価に影響する衣服の要因も理解することができます.
人の感性は大変複雑なため,完璧に人の感性を理解するまでには至っていません.本研究では,より良い人の感性の学習法の構築,キーワード検索より便利で画期的な検索システムである感性検索システムの開発にチャレンジしています.
関連研究紹介
感性検索エージェントと生成AIを組み合わせたイラスト生成システムに関する研究

本研究は、近年めざましい発展を遂げている生成AIの実用化に焦点を当てています。従来、イラストを1から制作することは非常に労力のかかる作業です.そこで,本研究では,感性検索エージェントと生成AI を組み合わせたイラスト生成システムを提案しています.これにより,ユーザの嗜好を学習して高品質なイラストを生成可能になります.また,本システムの生成モデルであるStableDiffusion がもつ拡張機能のControlNetを用いることで,ユーザが描いた線画画像をベースとしたイラスト生成を可能にしています.これらの技術の組み合わせによって,ユーザの好みに合う生成の制御をしつつ,高品質なイラストを短時間で生成可能が期待されます.
優越構造を形成する感性検索エージェントを用いた商品推薦システムに関する研究

本研究では,ユーザーの選択を促進する推薦システムを提案しています.近年,オンラインショッピングサイトでの推薦システムの利用が大幅に増加しています.しかし,従来の推薦システムは類似製品を提案することが多く,ユーザーの意思決定を困難にしたり,購入後の満足度を低下させる可能性があります.本システムは,ユーザーの好みから製品属性の重要度を計算し,製品の評価値を算出します.提案システムは,ユーザーの選択情報を基に好みを把握する「好み取得段階」と,最終的な製品選択を行う「最終意思決定段階」の2段階で構成されます.最終意思決定段階では,ドミナンス構造化プロセスを適用したテキストをユーザーに提示し,製品選択を促進します.実験の結果,提案システムがドミナンス構造化プロセスを通じて選択を効果的に促進することが確認されました.この研究により,ユーザーの購入時の迷いを軽減し,最終的な選択をよりスムーズに行えるようになることが期待できます.また,ユーザーが自身の好みに合った製品を自信を持って選択できるようになることで,購入後の満足度向上にも繋がると考えられます.
参考文献
Takaki Urai, Masataka Tokuamaru, “User Kansei Clothing Image Retrieval System”, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, Vol.18, No.6 pp. 1044-1052, 2014-11.
*Yuka Nishimura, Hiroshi Takenouchi, Masataka Tokumaru, “Extracting Preference Rules Using Kansei Retrieval Agents with Fuzzy Inference”, International Journal of Affective Engineering, Vol.21, No.3, pp.181-190, 2022-0
Yuya Tsubokura, Emmanuel Ayedoun, Hiroshi Takenouchi, Masataka Tokumaru, “Combining Kansei Retrieval and GAN to Foster Personalized Illustration Generation”, The 24th International Symposium on Advanced Intelligent Systems, TM1-2, pp.6-11, 2023-12 (Gwangju, Korea).
Tetsuaki Togo, Emmanuel Ayedoun, Hiroshi Takenouchi, Masataka Tokumaru, “Product Recommendation System That Promotes Selection Using Dominance Structuring Process”, 10th International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research 2022 (KEER2024), OAA-0035, pp.243-252, 2024-11 (Taichung, Taiwan).